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記載と記述の違い|意味と使い分けを例文つきで解説

記載と記述の違い|意味と使い分けを例文つきで解説

「記載」と「記述」。
どちらも文章を書く場面で頻繁に使われる言葉ですが、実際に使い分けようとすると、意外と迷う人が多い言葉です。

特に、ビジネス文書や申請書、説明資料などでは
「ここは記載でいいのか? 記述の方が正しいのか?」
と、手が止まった経験があるかもしれません。

意味が似ているため、会話では曖昧に使われがちですが、文章では役割がはっきり分かれます。
使い分けを誤ると、文章の意図がぼやけたり、読み手に違和感を与えたりする原因になります。

この記事では、

  • 記載と記述の意味の違い
  • なぜ混同されやすいのか
  • どう判断すれば迷わないのか
  • 実際の文章ではどう使うのか

を、構造的に整理して解説します。

まずは結論となる「違い」から確認していきましょう。




記載と記述の違いを一目で整理

ここでは細かい説明に入る前に、
「記載」と「記述」の違いを役割ベースで整理します。

最初に全体像を押さえておくことで、後半の理解がスムーズになります。

記載と記述の定義の違い

記載とは、書類や文章の中に情報を載せることを指します。
「そこに書かれているかどうか」「明示されているかどうか」が重要になります。

一方、記述とは、内容や状況を文章で説明することを指します。
単に書いてあるだけでなく、「どう説明されているか」「どんな表現か」が問われます。

同じ「書く」行為でも、焦点が異なります。

意味の違いを簡単に言うと

迷ったときは、次の形まで単純化すると判断しやすくなります。

記載:事実や項目を載せる
記述:内容や状況を説明する

この違いを軸に、次の章からそれぞれを深掘りしていきます。

 

記載とは何か

ここからは、まず「記載」について詳しく見ていきます。
記述との違いをはっきりさせるためには、「記載がどんな役割を持つ言葉なのか」を正確に押さえることが重要です。

記載が使われる典型的な場面

記載は、次のような場面で使われることが多い言葉です。

  • 契約書・申請書・届出書などの書類
  • 規約・注意事項・案内文
  • 箇条書きや項目として情報を示す場面

これらに共通しているのは、
内容を詳しく説明することよりも、「書いてあるかどうか」が重要だという点です。

記載は「説明」ではなく「明示」

記載という言葉は、説明の丁寧さや文章表現を評価するものではありません。
あくまで、「必要な情報がそこに載っているか」を示す言葉です。

たとえば、

「申請条件は書類に記載されています」

という場合、
細かく説明されているかどうかよりも、
条件が明示されているかどうかが問題になります。

この点が、後で扱う「記述」との大きな違いになります。

記載の例文

記載は、次のような文脈で自然に使われます。

  • 申請方法は書類に記載されています。
  • 注意事項が欄外に記載されているので確認してください。
  • 契約内容は契約書に記載のとおりです。

いずれも、「説明している」というより、
情報の存在を示している表現になっています。

 

記述とは何か

ここでは「記述」という言葉を、「記載」との違いがはっきり分かる形で整理します。
ポイントは、記述が「書いてあるかどうか」ではなく、内容をどう説明しているかに重きが置かれる言葉だという点です。

記載が「情報の存在」を示す言葉だったのに対し、
記述は「内容理解」を目的とした言葉です。
この違いを意識すると、使い分けはかなり明確になります。

記述が使われる典型的な場面

記述は、次のような文脈で使われることが多い言葉です。

  • レポート・論文・報告書
  • 解説記事や説明文
  • 状況や背景、経緯を説明する文章

これらの場面では、「項目として載っているか」よりも、
どのように説明されているか、内容が伝わるかが重要になります。

単語や箇条書きだけでは足りず、
文章としての流れや表現が求められるのが特徴です。

記述は「載せる」ではなく「説明する」

記述という言葉は、「情報が存在する」こと自体を示すものではありません。
その情報を どう説明しているか、どのように表現しているかを指します。

たとえば、

「事故の状況が報告書に記述されている」

という場合、
単に事故について触れているのではなく、
状況や経緯が文章として説明されていることを意味します。

この点が、「記載」との決定的な違いです。
記載は「ある・ない」が問題になりますが、
記述は「説明として成立しているか」が問われます。

記述の例文

記述は、次のような文脈で使うと自然です。

  • 被害の状況が報告書に詳しく記述されている。
  • 実験結果について、本文で記述している。
  • 当時の様子が具体的に記述されている。

いずれも、「書いてある」という事実より、
内容が文章として説明されていることに焦点があります。

逆に、単に項目として情報が載っているだけの場面では、
記述よりも記載の方が適切になります。

 

記載と記述が混同されやすい理由

ここまで読んで、「意味の違いは分かったけれど、なぜここまで混同されるのか」と感じたかもしれません。
実際、「記載」と「記述」は多くの文章で曖昧に使われています。

この章では、なぜこの2語が混同されやすいのかを構造的に整理します。
理由が分かると、単なる暗記ではなく、自然に使い分けられるようになります。

どちらも「書く」という意味を持っている

もっとも大きな理由は、
どちらも「書く行為」を表す言葉である点です。

日常感覚では、

  • 書類に書く
  • 文章を書く

という行為の違いを、そこまで厳密に意識しません。
そのため、「書いているならどちらでもいい」という感覚が生まれやすくなります。

しかし実際には、

  • 記載:書類や文章に載せること
  • 記述:内容を文章で説明すること

と、目的が異なります。
この目的の違いが意識されないまま使われることで、混同が起きます。

会話では区別しなくても通じてしまう

二つ目の理由は、
会話では細かく区別しなくても通じてしまうことです。

たとえば、

「そこに書いてあるよ」
「説明は書いてあるから」

といった表現でも、日常会話では問題ありません。
その感覚のまま文章を書くと、「記載」と「記述」を厳密に使い分けないまま定着してしまいます。

しかし、文章では読み手が文脈を補えません。
そのため、
「載っているのか」「説明されているのか」
が曖昧だと、意味が不正確になります。

ビジネス文書で曖昧に使われがち

三つ目の理由は、
ビジネス文書や公的文書で、慣習的に曖昧に使われてきた点です。

実際の現場では、

  • 記載
  • 記述

が明確に区別されないまま使われているケースも多く見られます。

その結果、
「なんとなく固い言葉として使っている」
という状態になり、違いを意識する機会が少なくなります。

だからこそ、文章の正確さが求められる場面では、
意識的に使い分ける必要がある言葉だと言えます。

 

迷ったときの使い分け判断フロー

意味の違いを理解していても、実際に文章を書いている最中は
「今の文脈はどっちだ?」
と一瞬迷うことがあります。

この章では、考え込まずに判断できるよう、
使い分けを一瞬で決めるための思考フローを整理します。
実務・レポート・説明文でそのまま使える判断軸です。

「載せること」が目的なら → 記載

まず確認したいのは、
その文の目的が「情報を載せること」かどうかです。

  • 書類に項目として示したい
  • 情報が存在することを明示したい
  • 詳しい説明までは求めていない

この場合は、記載が適切です。

  • 申請条件は書類に記載されています。
  • 注意事項は下部に記載があります。

ここでは、内容の丁寧さよりも
書いてあるかどうかが重要になります。

「説明すること」が目的なら → 記述

次に考えるのは、
内容を文章として説明する必要があるかどうかです。

  • 状況や背景を伝えたい
  • 経緯や理由を説明したい
  • 読み手に内容を理解させたい

この場合は、記述が適切です。

  • トラブルの経緯が報告書に記述されています。
  • 実験方法について本文で記述しています。

単に載っているだけでなく、
説明として成立しているかがポイントになります。

言い換えチェックで最終確認する

それでも迷う場合は、言い換えで確認すると判断しやすくなります。

  • 掲載・明示・記入 → 記載
  • 説明・解説・表現 → 記述

文章中の「記載」「記述」をこれらの言葉に置き換えてみて、
意味が自然に通る方を選びます。

このチェックを習慣にすると、
理屈を思い出さなくても感覚的に使い分けられるようになります。

 

よくある間違い例と修正例

意味や使い分けを理解していても、実際の文章では
「何となく固そうだから」「慣れているから」
という理由で誤用されているケースは少なくありません。

この章では、実際によく見かける間違いを取り上げ、
なぜ違和感が出るのか、どう直せばいいのかを具体的に整理します。

誤用されやすい文章

まずは、よくある誤用例です。

例1
申請方法については、別紙に詳しく記載しています。

例2
事故の経緯が報告書に記載されています。

例3
実験結果について本文で記載しています。

いずれも一見自然に見えますが、文脈によっては不適切です。

なぜ違和感が出るのか

これらの例に共通しているのは、
「説明する内容」を扱っているのに「記載」を使っている点です。

申請方法の説明、事故の経緯、実験結果――
これらは単に項目として載せるだけでなく、
内容を理解できるよう文章で説明する必要があります。

そのため、「記載」を使うと、

  • ただ載せているだけ
  • 説明が十分でない

というニュアンスになり、文章の意図とズレが生じます。

正しい書き換え例

先ほどの例は、次のように書き換えると自然になります。

例1(修正)
申請方法については、別紙に詳しく記述しています。

例2(修正)
事故の経緯が報告書に記述されています。

例3(修正)
実験結果について本文で記述しています。

逆に、「存在を示すだけ」の場面では記載が適切です。

  • 連絡先は申請書に記載されています。
  • 注意事項は契約書に記載のとおりです。

このように、
説明なのか、明示なのかを意識するだけで、誤用は大きく減らせます。

 

記載と記述の違いまとめ

記載と記述は、どちらも「書く」ことに関わる言葉ですが、役割ははっきり分かれています。

記載は、書類や文章の中に情報を載せることを指します。
その情報が存在しているか、明示されているかが重要で、詳しい説明までは求められません。

一方、記述は、内容や状況を文章で説明することを指します。
どのように書かれているか、内容が読み手に伝わるかがポイントになります。

迷ったときは、次の2点で判断すれば十分です。

  • 情報を載せる・明示するだけなら → 記載
  • 内容を説明・解説するなら → 記述

この違いを意識して使い分けることで、
ビジネス文書、申請書、レポート、解説記事など、あらゆる文章の精度が上がります。

記載は「載せる」、
記述は「説明する」。

この判断軸を持っておけば、もう迷うことはありません。

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